歩き方を変えたらひどい膝痛に悩まされた

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私自身の話です。夏の白馬岳登山を前に、疲れにくい歩き方を学ぼうと、見よう見まねで「ナンバ歩き」を自己流で始めました。1ヵ月半ほどして14キロ歩いたら左膝にひどい痛みが出て、アイシングをしてもマッサージをしてもらってもなかなかよくなりません。どうやら歩き方が悪く、着地の衝撃が左足にかかり、筋肉から腱まで傷めてしまったようです。

膝が痛い

歩き方を変えたらひどい膝痛に悩まされた

今回は、私自身の話です。私は早朝に起きてほぼ毎日ウォーキングをしています。それはほとんど趣味の登山のためです。いつも歩いていると、山に行ってアップダウンのあるかなり長い距離を歩いても歩くことが自然なことのように感じられるからです。

ところが、今回は、歩き方を工夫したつもりでウォーキングしているうちに膝に負担をかけていたようで、ひどく痛み、しかも、それが長く続きました。

私はみなさんの身体を診せていただいて筋肉を柔らかくほぐして調整することを仕事にしていて、自分の身体もいつも細かく観察していたつもりでしたが、こんなことがあるのかという経験をしました。

それを今回はお知らせしようと思います。

夏に予定していた白馬大雪渓からの縦走がきっかけ

この夏、北アルプスの白馬岳に行こうと思っていました。

登るルートは、有名な白馬大雪渓。雪渓の上をただひたすら登り、行動予定時間は5時間。登山口より大雪渓のとりつきまで1時間、大雪渓5時間、稜線に出てからその日の宿泊予定の山小屋、天狗山荘までは約2時間半。合計コースタイムは休憩なしで8時間30分。

翌日は、不帰(かえらず)の嶮(けん)という名前だけでも怖そうなヘルメット必須の岩稜帯を抜けて八方に下るコースタイム約6時間のロングコースを予定していました。

体力勝負になるので、毎朝のウォーキングを欠かさないことはもちろんですが、歩き方も工夫しようと思いました。身体をうまく使えて、体力を消耗しない歩き方を身につけたいと思いました。

いろいろ調べて知ったのが、「ナンバ歩き」でした。

自己流「ナンバ歩き」を訓練し始める

「ナンバ歩き」は江戸時代まで普通の歩行法だったらしいです。右手と右足、左手と左足をそれぞれ同時に出す歩き方だとされています。現代のような右足が出たときに左手が前に出る身体を捻る歩き方ではありません。

武士や飛脚、駕籠屋が長い距離を歩いたり走ることができた秘訣がそこにあるといわれているようです。私が特に魅力を感じたのは「身体をねじらない」ことでした。

身体を正面から見たときに、右の肩・腰・足と、左の肩・腰・足で軸が2本通っていると考え、左足が前に出た時は、左の手のひらを上に向け、右の手のひらは下に向けると同側の肩が連動して、上下に動く歩き方になります。

これは普段の身体をねじる歩き方より疲れにくいはずです。特に重たい荷物を背負って歩く場合、身体をねじると荷物が左右に振られてしまい、下りでは身体が荷物に引っ張られる状態になります。

この歩き方を想像してみると、着物を着て草履(ぞうり) 草鞋(わらじ)をはいて歩いているので、足を蹴り出す歩き方ではありません。もし、現代のような身体を捻り腕を前後に振る歩き方をすれば着物も前がはだけ、着崩れを起こしてしまうでしょう。無駄な力や動きを要しない歩き方だと思いました。

これを身につけられれば、長い時間の山行に応用できると考え、歩き方を変えてみようと思いました。ただ、正式にセミナーなどに出席して詳しい指導者について学んだわけではなく、本を読んでYouTubeの動画を参考に、自己流で訓練していました。この自己流がいけなかったのですが・・・。

*ナンバ歩きに興味のある方は桐朋学園大学教授ナンバ術協会最高師範 矢野龍彦氏のYouTubeの動画で見られます。

何となく違和感があったが14キロ歩いたら左膝に痛みが出た

6月の前半は雨が続いていましたが、休みの日。久しぶりに時間があるのをいいことに、今まで雨で歩けなかった分まで取り戻そうと欲が出て14キロを2時間かけて歩きました。

これがいけなかった。10日程前より、左膝の内側(膝から5センチほど下がったすねの内側)に多少の違和感と軽い痛みがあったのですが、さほど気にかけずに歩いていました。それが、11キロあたりからお尻の下左側外側のハムストリングと左膝の内側に足を着く度に突き上げるような痛みに変わってきました。

当然の話ですが、家から離れれば離れるほど帰りは遠くなります。まして、痛みがあればなおさら帰路は遠く感じました。

痛みの原因は筋肉にある

膝の痛みで来院される患者さんは、変形性膝関節症等を除いては大腿四頭筋、大腿二頭筋が何らかの理由で硬くなったことで起こっています。痛みの場所から推測して、膝の関節自体が問題ではなく筋肉の問題だとわかっていました。

膝のお皿の外側下の場所は「鵞足(がそく)」と呼ばれ、縫工筋、薄筋、半腱様筋のこれら3つの筋肉が、すねの骨に付着している場所で、動作負荷が集中しやすい構造となっています。

筋肉の付着部が見た目にガチョウの足に似ていると言うことでこの名前がつき、この場所の痛みはスポーツなどで膝の曲げ伸ばし等使いすぎで筋、腱、滑液包などの炎症が原因になります。しかし駕足炎が出る場所からは離れているし、膝裏の外側が同時に出ることはないと思われました。

最初はどこが痛いのかはっきりせず、正座していくと左足の裏側の筋肉がひきつれるような痛みで足を曲げられない。痛みの場所が特定できない状態でした。身体中の筋肉の構造は、浅層、中間層、深層になっていて複雑です。

アイシングを行ってもなかなかよくならない

その後も、静かに歩いていても着地をする度に突き上げるような痛みがありました。炎症を起こしている部分のアイシングを毎日行っていました。

この痛みは炎症と共に、太ももの表側と裏側が硬くなっているために出ている痛みであることがわかります。それで、筋肉を緩めるためにストレッチをしようとするのですが、痛くてとても出来ない。まずは安静が大事と、アイシングを毎日、何回も行い炎症を抑えることから治療を始めました。

ある程度痛みが治まってきてからは、スタッフに硬くなっている筋肉のマッサージをしてもらうのですが、拘縮した筋肉は簡単には緩んでくれません。遠慮なく緩めてもらいますが、あまりの痛さに悲鳴が上がります。「こんなこと、患者さんには絶対できない」といわれながら、あまりの痛さに泣き笑いでした。

テレビでケガをしたアスリートが、一日も早くなおすためにトレーナーに硬くなった筋肉を緩めてもらっていたのを見たことを思い出します。足で踏まれていて、顔をゆがめて痛さに耐えていました。

なぜこんなに痛みが強く、そしてよくならないのだろう?

着地の衝撃が左足にかかり、筋肉から腱まで負荷をかけていた

いろいろと思い出していくと、着地の時に出した足の上に腰を置いていくスムーズに歩けばよかったのですが、手の動きと足を連動させて歩くのを意識しすぎて、ドンドンと足に力が入り着地の衝撃がまともに左足、膝関節周囲の筋肉に負担をかけてしまったようです。

さらに、その負荷が筋肉だけではおさまり切れず、関節周囲の腱にまで大きな負荷をかけてしまったようです。

当初、2週間もあれば痛みも取れるだろうと軽く考えていましたが、2週間経過しても痛みは一向にとれる気配がありません。

痛む筋肉、何故ここが痛いのか?最初はわからず、痛む方向に足をうごかしながら、そこら中を押してどこが痛むのか探って行きました。最初はわからなかった筋肉の場所が、時間の経過でだんだんに特定できて来ました。

膝のお皿内側の痛みは内側広筋が骨に付着する付近の痛み。膝の裏の痛みは、外側の大腿二頭筋腱、大腿二頭筋短頭。膝の裏をまたいでふくらはぎの上は、腓腹筋外側頭からヒラメ筋までが硬くなって、正座をするとこれらの筋肉が引っ張られて痛い。どうやら、筋肉もさることながら関節の付着部の腱まで痛めたようでした。

長期間よくならないのは腱を傷めてしまったから

筋肉損傷は程度によりますが、1週間から10日ほどで筋肉は修復されるはずです。その理由として、筋肉を太くしていくには、トレーニングなどで筋肉に負荷をかけて筋繊維を壊し、筋繊維の修復時に太くなるのです(これが筋肉痛)。

この時に、筋肉の基になる栄養(タンパク質)を多めに摂取すると筋肉の修復が早まります。プロテインを飲んだりしますね。

筋肉は必ず各関節をまたいで付着しています。筋肉は収縮するが、骨に付着する筋は腱(すじ)になりほとんど収縮しないコラーゲン組織で出来ています。

何故、こんなにもよくならず時間がかかるのだろう?

それは、負荷がかかったことで筋肉を傷めたことには間違いないですが、それ以上に腱を傷めてしまったようです。腱はほとんど収縮しません。だからストレッチをいくらしても効果がなく、痛みが治まらないのです。硬くなった筋肉はストレッチで伸ばせても、筋肉の付着部の腱は伸びない。だから、痛めた腱の自然治癒力を待たなければ治らないのだと気がつきました。

ただし、ただ何もしないで自然治癒力を待つのではなく、その間にマッサージやストレッチをして筋肉を緩めることで、少しでも腱の負担を和らげていくことが大切なことは言うまでもありません。

歩き方や走り方を変えたり靴を替えた時は違和感がないか観察する

今回は私自身の話でしたが、正直、歩き方を変えたらこんなに膝に影響が出るとは思ってもいませんでした。白馬岳山行は、次の機会に延期しましたが、よい経験をしたと思っています。まず、新しい歩き方を訓練するには、最初に教室やセミナーなどで指導を受けた方がよいと思いました。

みなさんも歩き方や走り方を変えたり靴を替えたときは、よくご自身を観察してください。

靴の場合は意外と簡単です。足によいとされる靴の種類は沢山ありますが、自分に合っているかどうかは、特に合わない場合、すぐに靴擦れを起こすので気がつきます。

ところが、歩き方の場合、歩き方を変えて筋肉に負担がかかっていても、違和感を認識するまでタイムラグがあり痛みとして出るまでに、時間がかかります。多分、走り方を変えた場合も同じようなことになります。

個人差はありますが私の場合、歩き方を変えて痛みになるまで1ヶ月半くらい時間を要しました。それは間違った歩き方をしたことで、徐々に筋肉に疲労をため筋肉の付着部である腱を傷めてしまったせいです。

違和感がでましたら、勢いに任せずよく注意をして止めてください。筋肉の腱(すじ)を傷めてしまうと治るまでに1か月以上時間がかかってしまうこともあります。

もし、歩き方や走り方の変化が原因で膝痛に悩まされている方がいらっしゃいましたら、私の経験も含めて説明し、治療して差し上げられると思います。

膝の痛みがある方は、治療院よしぐちまでご相談ください。自由が丘駅南口から徒歩3分、奥沢駅から徒歩5分の整体治療院です。ご連絡お待ちしています。

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