ぎっくり背中は肩甲骨周辺の奥深いところが痛む
ぎっくり背中は身体をひねったことが原因で起こり、激しく痛みます。ぎっくり背中になる場所は肩甲骨周辺の奥です。呼吸をしても痛みます。ぎっくり背中とぎっくり腰。ことばが似ているので共通点があります。突然激しい痛みに襲われること。そして、筋肉の疲労がたまっていたのが原因で痛みが出ること。治療は硬くなった筋肉をゆるめます。
ぎっくり背中になった患者さんが通って来られています
今、ぎっくり背中になった方が当院に通って来られています。
きっかけは、来院されている患者さんからの相談でした。「保育園で働いている先生が、突然背中が痛み起き上がれなくなり休んでいる」とのことでした。年に何回か繰り返しているそうです。
当院の患者さんの痛みは、筋肉が硬くなっていることが原因の場合がとても多いです。もちろん、痛みの中には内蔵の病気が原因のこともありますので全てがそうだとは言い切れません。気になったら内科で診てもらうことはとても大切なことです。
その方には、「痛みで仕事が出来なくなるのは困ると思います。筋肉が硬くなって発症した痛みなら必ずよくなるので、本気で治そうと思うのなら一度、身体を診させてほしい」と伝えてもらいました。
とても身体の柔軟性のある方でしたが肩甲骨周辺の奥深いところの筋肉が硬かった
来院されたのは保育園勤務のAさん、20代の若い保育士さんでした。園児達にとても慕われているだろうなと思える可愛い先生です。0歳児からお世話をしていて、仕事柄、常に小さいお子さんを抱いています。園児のなかには血色豊かな1歳児とは思えないほどの健康優良児がいて、他の先生も「あの子を抱っこしていると、腰が痛くなるのよね」と話されているそうです。
ある朝、突然激しい背中の痛みで起きられなくなったとのことでした。とても柔軟性のある身体ですが、痛みの原因は、肩甲骨周囲の奥深いところにある筋肉の硬さでした。小さいお子さんを抱く毎日で、筋肉の疲労がたまっていたのでしょう。
下の写真は、治療を始めてから当院の月イチヨガに参加してくれた時に撮ったものです。右の方が彼女です。お尻をぴったり床に着けて、このポーズができるのですから、身体の柔軟性は相当なものです。
しかし、身体の柔軟性と筋肉の疲労は別物です。これだけ柔らかい身体でも、筋肉に疲労は蓄積するのです。
「ぎっくり背中」ということばを初めて知った
「痛む場所は違いますが、ぎっくり腰と同じですよ」と説明すると「ぎっくり背中ですか」という答えが返ってきました。今回、初めて「ぎっくり背中」という言葉があることを教えてもらいました。
「ぎっくり背中」、私たちにはなじみのない言葉で、今まで使ったことがないのです。今までは、急性の背中の痛みと説明をして来ました。
ぎっくり背中とぎっくり腰の違い
ぎっくり背中とぎっくり腰。ことばは似ていますがどんな違いがあるのでしょう?
ぎっくり腰は、重たい物を持ち上げようとして突然はげしい痛みに襲われるイメージがあります。身体を前かがみにして、曲げた腰を伸ばしながら荷物を持ち上げた時に「グギッ」となります。
ぎっくり腰については、いくつも記事を書いていますが、ぎっくり腰をまずお読み下さい。
ぎっくり腰になる動きの方向は上下方向です。では、ぎっくり背中も上下方向かというとそうではないのです。ぎっくり背中は身体を左右にひねった時になります。
ぎっくり背中は身体をひねった時になる
背中の筋肉は前後の動きには強く出来ていますが、捻り(ひねり)には弱いのです。よほど日頃から筋トレで背中を鍛えている人は別ですが、ひねられる力には弱いのです。
日常生活で身体をひねる機会はたくさんあります。
例えば、車の運転席から手を伸ばして後部座席のものを取ろうとする姿勢です。この時、ひねりながら手を伸ばすことで、筋肉がより強く伸ばされます。
実は、これは私が「ぎっくり背中」になったきっかけの動きです。
私は車通勤ですが、以前信号が赤になって停車時、後部座席の荷物を取ろうと体をひねって手を伸ばし、不用心に物を持ち上げたときに背中を痛めました。
その痛みは呼吸ができないほどで、肩甲骨の深いところで痛みました。
ぎっくり背中になる場所は肩甲骨周辺の奥です
下記の図を見ていただくとおわかりになると思います。ぎっくり背中になる場所を黄色の線で示しました。特に広背筋の下にある、大・小・菱形筋(りょうけいきん)付近の場所に痛みが出ることが多いです。
この場所は、肩甲骨の周りです。そして、奥にある筋肉が痛みます。
ぎっくり背中の痛みは呼吸しても痛む
ぎっくり背中に関係する筋肉は、呼吸する時に広がったり縮んだりする胸郭につながっています。僧帽筋とその深部に位置する大菱形筋、小菱形筋があり前鋸筋は肩甲骨の内側縁から、わきの下の肋骨についています。呼吸のたびにそれぞれの筋肉が連動して動き、激しく刺すような痛みになります。
ぎっくり腰の場合、身体を動かすことで痛みますが、背中の場合じっと静止していても、呼吸をすることでも痛みます。
さて、ここで保育士さんのAさんのことを考えてみましょう。子供を抱っこしても子供はじっとしていてくれません。抱っこすると肩の筋肉に力が入ります。また、他の子供にも注意を向けなければいけないので、常にあたりを見回すことになります。
すると、どうしても身体をひねることを繰り返すようになります。この状態では、肩甲骨周辺の筋肉に負担がかかるのがよくおわかりになると思います。
ぎっくり背中とぎっくり腰の共通点
ぎっくり背中とぎっくり腰、「持ち上げる」のと「ひねる」ので痛める動作はだいぶ違うように思われるかもしれないですが、共通していることがあります。不意をつかれるように突然激しい痛みに襲われることと、痛む筋肉に疲労がたまっていたことです。
突然激しい痛みに襲われる
ぎっくりを辞典で調べると、コトバンク「ぎっくり」の中にはこのように書かれています。
不意をつかれて驚き動揺するさま。ぎくっ。
なるほどと思います。不意をつかれて「突然」なるのです。しかも、激しい痛みに襲われます。これは驚きます。
もともと筋肉の疲労が蓄積していた
もう一つ。ぎっくり背中とぎっくり腰も筋肉が痛むのですが、何らかの原因で痛む場所の筋肉が疲労して硬くなって縮んでいたのです。その筋肉が突然伸ばされることで、筋肉や筋肉を包んでいる筋膜が断裂を起こし、激しい痛みが起きます。
「ぎっくり腰」と「ぎっくり背中」の違いは、痛む場所が違うだけで痛める機序は同じなのです。
ぎっくり背中の痛みは呼吸しても痛む
「ぎっくり背中」の痛み、筋膜と筋肉が細かい断裂を起こして炎症を起こします。背中の痛みは呼吸で胸郭が広がり、縮みます。僧帽筋とその深部に位置する大菱形筋、小菱形筋があり前鋸筋は肩甲骨の内側縁から、わきの下の肋骨についています。呼吸のたびにそれぞれの筋肉が連動して動き、激しく刺すような痛みになります。
ぎっくり腰の場合、身体を動かすことで痛みますが、背中の場合じっと静止していても、呼吸をすることでも痛みます。
背中の痛みが治るまで
急性の痛みは炎症を起こしますので、痛む患部を冷やすと多少痛みは楽になります。冷やすには湿布は効果的でなく、アイシングをした方がよいです。詳しくはぎっくり腰に湿布はおすすめできませんを読んでみて下さい。
そして、激しく痛んでいる時は何も治療ができません。少し落ち着いたら来院していただき、痛みで硬くなった筋肉をマッサージでほぐしていきます。
痛みの出ている部位から離れた場所からマッサージ
しかし、炎症を起こしている部位の筋肉をいきなりマッサージすることはできません。痛みの出ている部位から離れた場所から徐々にマッサージで筋肉をほぐしていきます。
痛みが消えるまで2週間くらいの治療期間が目安
ぎっくり腰と同じで、炎症が治まるまで1週間くらい時間を要します。その後、完全に痛みが消失するまでにあと1週間くらいかかることでしょう。もちろん、治療をしてのことです。
寝る姿勢は横向きが原則
背中が痛いと寝るのが大変になります。よく患者さんから「どのような姿勢で寝たほうが良いですか」と質問を受けます。
ギックリ腰でも同じなのですが、横向きで寝るようにお話をしますが、ご本人にとって一番楽な姿勢で寝るのがよいでしょう。
ぎっくり腰はよく知られていますが、ぎっくり背中はそれほど知られていないと思います。突然ぎっくり背中になり激しい痛みに襲われると、びっくりして「怖い」と感じるかもしれないですが、ぎっくり腰と同じようなものだと思い出して下さい。
突然の痛み、背中で起これば「ぎっくり背中」、腰で起これば「ぎっくり腰」、首で起これば「寝違え」です。
もし、ご自分の今の症状を検索してこの記事にたどり着いたなら、遠慮なく治療院よしぐちに電話でご相談下さい。ご連絡お待ちしています。
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